20代の頃、彼と同棲をしていたころの話です。
彼は事業を始めたばかりで、生活の余裕はなく彼の稼ぎと私の稼ぎでギリギリの生活をしていました。
家賃も払えない時もありましたし、電話料金も滞納してしまって使えない時もありました。
とはいえ、そんな生活も二人で楽しく生活していました。
夏のある日、私は仕事から帰って食事の献立を考えながら、冷蔵庫を開いていました。
必要な食材を出し、野菜を洗って調理の準備を始めました。
準備を進めていると、ちょっと部屋が暗いなと思い電気のスイッチを入れましたがつきません。
「電球がきれたのかな?」と思い、電球を確認しても問題はないようでした。
おかしいな・・・ん?もしかして!
そうです、電気が全て使えないのです。冷蔵庫を再度開いていみると、冷蔵庫内の電気もつきませんでした。
食材を出すときに普通は気付くものですが、全然気付きませんでした。
ありとあらゆる電気のスイッチを入れてみましたが、全て電気は使えず間違いなく電気が止められているようでした。
そういえば、何日か前に黄色の紙がポスト入っていたような・・・
夕方時の部屋の中はどんどん暗くなり、とても惨めな気持ちになりました。
すぐに彼に電話をして、電気代は払ったのか?と問い詰めました。(電気代は彼が払うことになっていました)
「忘れていた」とのことで、私は今すぐ払うように言いました。
それから1時間もすると、電気が使えるようになったので支払をしたのだろうとは思いますが、どういう手続きをしたのかは忘れてしまいました。
でも、支払をするとすぐに電気を使えるようにしてくれるなんて、電力会社も優しいんだなとその時は思いました。
電気が止められたのは自分たちの責任ですし、使った電気の支払をしないほうが悪いのです。
しかし、支払ったとたんにすぐ使えるようにしてくれるなんて、すごいと思ったのです。
電気代を支払わなかった罰として、すぐには使えないようにしてもよいものの・・・
電気が使えなくなって、電気なくして日常生活はできないのだなと、身を持って体験しました。
部屋の電気、冷蔵庫、電話の充電、ガスの湯沸かし器まで電気が必要です。
その後、震災を経験した事もなく、支払を滞ったこともないので電気の使えない生活はしたことはないのですが、あの一瞬だけ電気がつかない体験したことはとても、寂しく惨めな気持ちになったことは覚えています。
今はあたりまえに電気を使っていますが、電気が使えるということは、とても幸せなことだと思うのです。